キミがいなくなるその日まで
私はベッドの上にいるシンに思わず抱きついた。
シンだよね?間違いないよね?
5日間も眠り続けたシンは少し痩せてしまったけど、この温かい体温は変わってない。
『もう、マイはいつからそんなに泣き虫になったの?』
こっちの気持ちも知らないでシンは私の頭をポンポンと撫でた。私にだって我慢できる涙とできない涙ぐらいある。
『この数日間私がどんな気持ちでいたか分かってる?』
私は涙を拭いてシンの顔を見た。
『分かるよ。俺もマイが倒れた時同じ気持ちだったから。心配かけてごめんね』
ううん、いいの。
目を見て、話が出来て、触れられる。これ以上に嬉しい事なんてない。こうして無事だった事だけで今までの不安が全部吹き飛んでしまった。
シンはその後、何故かじっと私の顔を見続けている。
『な、なに?』
私は急に恥ずかしくなって自分の顔を触ってみた。ひょっとして寝起きだから変とか?それともなんか付いてる?
『ううん、マイだなぁと思って』
なにそれ、意味分かんない。
私は少し冷静になってポケットから折り紙を取り出した。
『なにこれ、ギャグ?』
また可愛くないない自分が出始めたけどこれは気恥ずかしさを隠す為だ。
『ん?カエルだよ?上手く折れてるでしょ?』
『だからなんでカエル?帰ってきたよって意味じゃないよね?』
『あ、よく分かったね!けっこういいアイデアでしょ』
もしかしてシンは天然なのかな。
5日振りに目を覚まして一番最初にそんなギャグとか。私が笑うとでも思ってる?
『あのさ、私カエル嫌いなんだけど』
『え、マイが嫌いなのは爬虫類でしょ?』
『両生類も嫌いなのっ』
あれ、ってかなんでこんな下らない事話してるんだろう?いつの間にか普段通りの私達に戻っちゃってるし。