キミがいなくなるその日まで
『マイ折り紙折ろうよ。教えてあげる』
シンがベッドの上で手招きをした。
早速机には色とりどりの折り紙と本が用意されている。だけどやっぱり思い出してしまうのがあの日の事。
シンの部屋で折り紙を教えてもらって、
それでシンは…………
『マイ?』
シンの呼び掛けに私はハッと我に返った。
なんで私は何度もあの日の事を思い出しているんだろう。これがトラウマってやつなのかな。
シンが死んでしまうかもしれないと思った恐怖がいまだに無くならない。
『マイ、ごめんね』
シンが突然、私に謝った。
『え、なにが?』
まさか心の声が聞こえた訳じゃないよね?それとも不安が顔に出すぎてた?
シンは折り紙を丁寧に折りながら言った。
『本当はね、マイに一番見せたくなかったんだ』
そんなシンの顔を見て私は自分が情けなくなってしまった。
そうだよ、倒れた本人の方が気にしてるのに私がくよくよしてる場合じゃなかった。
『突発性の発作はけっこう起こるんだ。いつもだったら暫くすれば治まるんだけどね』
『………』
『だからマイの前では起こらないで欲しいって思ってたんだけど駄目だった』
シンがあまりに悲しそうな顔をするから私はシンの手を強く握った。
『いいよ、これからは弱い所いっぱい見せて。私も見せるから。発作だって何回起きても私が絶対助けるから』
“絶対”なんて以前の私なら使わなかった。
でも今は使ったっていいでしょ?思ってる事は口に出さなきゃ分からない。
その為に伝える声があるんだから。
『それなら俺もマイが苦しい時は絶対助ける。
だから一緒に頑張ろうね』
シンは私の手を握り返してくれた。