キミがいなくなるその日まで
夕ごはんの味噌汁の中に星形のにんじんが入っていた。多分クリスマスイヴだからだと思う。
…………シンは大丈夫だったのかな。
急に呼ばれるって何か異常があったからだよね?
せっかく普段の日常に戻りつつあったのに。
『マイちゃん、電気消すね』
────カチッ。
中村さんが静かにドアを閉めると部屋は真っ暗になってしまった。私はガサガサっとベッドの下を探りクリスマスグッズが入ってる袋を取り出した。
小さいツリーに電気のロウソク。
明日やるクリスマス会には敵わないぐらいショボいけど、シンは待っててくれている。
本当は何かプレゼントでも用意しようって思ったけど、何も買いに行けないしシンが何を欲しいか分からなかったから。
その後、看護師さんが見回りに来たのが12時過ぎ。
それから廊下に響く足音が消えた所で私はやっとベッドから出た。
恐る恐るドアを開けると廊下は真っ暗で、非常灯の明かりだけが不気味に光っている。
なんか怖い。お化け出そう…………。
誰も歩いていない廊下はすごく静かで私は足音を立てないように裸足だった。
そしてそのまま袋を両手に抱えて急いで302号室に向かった。