キミがいなくなるその日まで
────ガラ………。
私はノックをせずにシンの病室に入った。なんとなく無事着いた事に安心して肩を撫で下ろしていると………
『マイ』
背後からの声に思わず大声が出そうになったけど、シンがとっさに私の口をふさいだ。
『………シーっ。遅いから俺がマイの部屋に行こうと思ってたんだよ』
シンは小声でそう言って私はやっと冷静になった。
『脅かさないでよバカ。こっちは不気味な廊下歩いてお化けが出ないかビクビクしながら来たんだから』
『はは、またお化け。マイは怖がりだなぁ』
シンは笑いながらベッドの横にある小さな電気を付けようとしたけど私はそれを制止した。
『待って、明かりならあるから』
袋から取り出したのは電気のロウソク。カチッとスイッチを入れるとまるで炎のように光った。
『わぁ、綺麗だね』
真っ暗な部屋に付いた唯一の明かり。いつも来てるシンの部屋なのに今日はなんだか違って見えた。
『それからこれ』
次に出したのは小さなツリー。まだ飾りは何もなくて今はただの寂しいモミの木。
『俺もあるよ』
シンの手のひらには小さな折り紙が沢山あって、
それには飾れるようにヒモが付いていた。
サンタクロースにトナカイ、そして七色の星。
シンが作ってくれた折り紙を1つ1つ飾っていくと何もなかったツリーが一気に立派になった。