キミがいなくなるその日まで
いつの間にか朝日が昇り、電車に乗ってくる人達も増えた。その中には朝練なのか学生の姿もちらほら見える。
『なんかマイの制服姿思い出しちゃった。制服着るとマイは強く見えるよね』
『なにそれ』
それじゃまるで普段私が弱いみたいじゃん。
『俺ね、マイが羨ましかった。いつも背筋が伸びてて堂々としてる。俺もそんな風になれたらって思ってたんだよ』
違うよ、シン。
私が堂々としてたのは難しい事を考えたくなかっただけ。病気の事もこれからの事もただ身を任せて過ぎていくのを待ってればいいって。
死ぬのも生きるのも私が決める事じゃないってそう思ってたんだ。
でも違った。
いつまで生きられるのか、
いつ死ぬのかじゃなくて
大切なのはその間、誰と過ごしたか。
誰の為に生きたいと思い、
誰に向かって生きて欲しいと願ったのか、
大切なのはそれだった。
『私もシンみたいになりたいって何度も思ったよ。私達同じだね。なんかいつもシンとは同じ事を考えてる気がする』
私はそう言ってシンの肩に頭を寄せた。
窓から入ってくる日差しが暖かい。電車の振動が心地よくてこんなに穏やかな気持ちは初めてだ。