キミがいなくなるその日まで
それから暫く電車に揺られ、乗り継ぎも時間通り乗る事が出来た。
『なんか俺マイが居なかったら絶対迷子になってる。電車ってこんなに沢山あるんだね。どれに乗ったらいいか分からないよ』
次の電車が来る間、私達はおにぎりを買って軽い朝食をした。その間シンは次々変わる電光掲示板に夢中のよう。
『今は携帯に行き先入力すれば簡単にルート教えてくれるし』
私はおにぎりの袋をゴミ箱に捨てて携帯をシンに見せようとしたけどすぐにバッグの中へ。
理由は丁度画面がお母さんの着信になってたから。
電話が嵐のようにかかってくるのは分かってるしメールだってそう。私は気にならないように初めから電話もメールも無音設定にしていた。
きっと何を言っても戻ってこいって言われるし、
今日はシンと二人で居たい。
『あ、マイ電車が来たよっ。これに乗るんだよね?』
海まで後もう少し。私はベンチから腰を上げて最後の電車へと乗った。
いつの間にか私達はずっと手を繋いでいてそれはもちろん電車の中でも。
確か昔、どこかの学生カップルが電車で手を繋いでいて私は冷ややかな目で見てたっけ。
まるで自分達だけの空間って感じが理解出来なかったけど、それも悪くないかも。
だって誰もが一度は想う大切な人との二人だけの世界。そんなの無理に決まってるけど出来ないなら自分達で作ればいい。
誰がなんと言おうと今だけは私とシンだけの世界だよ。