キミがいなくなるその日まで



どうして私なの?


私は全然いい人じゃないし、優しくないし、人に感謝されるような事なに一つした事ないよ。

なのになんでシンじゃなくて私なの?

嫌だよ、嫌だ。

私はまだ元気だし生きられる。でもシンは?

シンのタイムリミットは残りわずかなんでしょ?


『………先生お願いだからシンに新しい心臓をあげてよ。私は何もいらないからっ』

───ドクンッ。


そう言った瞬間、私は急に息が出来なくなってその場にうずくまった。


『……………ッ…』


激しい左胸の痛み。ギュッと胸を掴んだけど内側の痛みが強すぎて何も感じない。


『マイちゃんっ!!』


風間先生の声が耳元で響く。それが遠く聞こえるのは気のせいじゃない。

意識が朦朧(もうろう)とする中やっぱり考えるのはシンの事。


もしこのまま終われたらシンと同じ場所に行けるのかな?

そしたら離ればなれになる事はない?



『中村さん早くマイちゃんに呼吸器を。それから担架も急いでっ』

『はいっ!!』


先生もういいよ。

これで楽になれるならいっそこのまま終わらせて。次に目を覚ました時にシンはもう居ないかもしれない。

そんな悲しみ私には耐えられない。


きっときっと生きるより辛い事だよ。
だからシンと同じ所へ行かせて。

そしたら今度こそ伝えるの。


私はシンの事が────。



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