キミがいなくなるその日まで
『────しない』
私ははっきりとそう言った後、続けて風間先生を睨み付けた。
『私しないから。だからそう返事をして。そしたら他の患者の所へ行けるでしょ』
私以外にも移植を必要としてる人は居る。きっとその中で私と同じように適合がピタリと一致する人だって居るはずだ。
『マイちゃん………』
先生が何かを言いたそうにしてる。
私はそれを聞きたくないから自然にペラペラと言葉が出てきた。
『先生はしょせん医者だよ。シンが死んだってすぐに頭を切り替えて移植、移植って。どうせそうすればテレビでも取り上げられるもんね。病院だって有名になるし先生にとって良いことだらけだしね』
誰に何と思われようと別にいい。
嫌われたって軽蔑されたって自分をよく見せる必要はもうない。
『マイちゃん違うよ。みんな君を救いたくてそれで………』
『だからもういいって言ってるの!私の気持ちなんて誰にも分からない。もう放っといてよ』
またポロポロと涙が溢れる。
私はシンが居ないとこんなに情緒不安定だよ。
情けないぐらいに。
背後でスタスタと足音が聞こえた。その後は病室に物音一つしない。
ベッドに顔を埋めてるから分からないけど、きっと先生は呆れて出ていってしまったに違いない。
本当にこんな自分が嫌になる。
───と、その時ポンッと私の肩に手が乗った。びっくりして顔を上げると隣には帰ったはずの先生の姿。
先生は片膝を付けて私と同じ目線になっている。