キミがいなくなるその日まで
『…………っ……っシン…』
溢れ出す涙を止める事が出来ない。
これをいつ書いたのか分からないけど多分シンは自分の命の期限を知っていた。
だから枕の下に置いて直接言って欲しかった言葉を最後まで隠してた。
『ばか………シンのばか』
シンはいつだって本音を言ってはくれなかったけど、これはシンが言えなかった、ずっと言いたかった本当の気持ち。
私は初めてシンの心に触れたような気がした。
シンがくれた未来への約束。
さよならもお別れの言葉も必要ない。だって私達が交わしてきた言葉こそ二人を繋ぐ絆。
だからね、私はシンの電車には乗らない。
一緒に行きたいけど行かないよ。
その代わり、もしその時が来たら一番最初に迎えにきて。
その頃には話し足りないくらい聞いて欲しい事があると思うんだ。
今までの事とか、話せなかった事とか、
シンへの気持ちとか。
私はシンがくれた言葉と勇気に背中を押されて、
そのまま屋上を出た。
向かうのは風間先生の居る診察室。
そして私は迷う事なく、揺れる事なく、やっと堂々と言う事が出来る。
『私、心臓移植やります。大切な人達の為に私は生きたいです』
シンが生きられなかった明日を私が諦める事はもうしない。
1分でも1秒でも私は長く生きる。
それもシンが教えてくれた。