キミがいなくなるその日まで
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『マイちゃん、退院おめでとう』
移植手術から半年後、私は家に帰れる事になった。新しい心臓との拒絶反応に苦しむ事はなく私自身こんなに早く退院できる事にびっくりしてる。
『もう、やだ大袈裟だって』
病院の玄関口には沢山の先生や看護師達。みんなで私を見送ってくれるらしい。
『マイちゃん、おめでとう』
大きな花束をくれた中村さんなんて朝から泣いていて、嬉しいのか悲しいのかよく分からない。
『別に見送りなんていらないのに。どうせ1ヵ月に一回はまた診察に来るんだし』
なんていつもの調子で言ってみたけど内心は嬉しい。見送りに来てくれた人達は全員私の命の恩人だから。
『本当にお世話になりました』
お母さんは深々と頭を下げて回り、病院にはお父さんが運転する車が到着した。
私は入院していた病院をじっと見つめた後、風間先生や中村さんの顔を見た。
『今まで沢山迷惑かけてごめんなさい。本当に有り難う。お世話になりました』
そう頭を下げた瞬間、一筋の涙が溢れた。