キミがいなくなるその日まで




私の心臓は生まれた時から欠陥品だ。

病名は心臓病。


だけど私は普通の人と変わらない生活を送ってた。学校にも行ってたし、おしゃれもしてたし、彼氏も居た。

それなのに1ヶ月前、私の心臓は突然悲鳴を上げた。


2週間に一度の診察はサボらず行ったし、医者の言う事は必ず従った。

運動だってしてないし、夜遊びだってしてない。


心臓に負担のかかる事は一切しなかったはずなのに3時限目の数学の授業中、私は息が出来なくなって意識を失った。


それからはずっとこのベッドの上。


自分の病気の事は理解しているつもりだ。

だからこそ我慢してきた事が山ほどある。


親とか先生とかには毎日逆らっていたけど、医者には逆らわない。だって私は病気でも普通の生活がしたかったから。


なのに、なんで私の心臓はこんなに弱いんだろう


頭で色々と考えるだけで、胸が苦しくなる。


『マイ』


声がする方に目を向けると、そこには荷物を抱えたお母さんが立っていた。


『着替え持ってきたからここに置いておくね』

そう言うとベッドの脇に紙袋と旅行用のボストンバッグを置いた。


私は無反応で相変わらずベッドに横になったまま。


『天気いいからカーテン開けるね』


お母さんは私の返事を待たず白いカーテンに手をかけた。その隙間から眩しい光が射し込み私の顔を照らす。


『眩しいから閉めて』

『……でも』


お母さんの言いかける言葉を私は遮った。


『外に出たくなるからやめて』


最後の一言でカーテンは再び閉まった。



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