キミがいなくなるその日まで




友達が来るまで後1時間。

髪の毛も整え、洋服もパジャマではなく私服に着替えた。まるでこれから出掛けるような姿は心までよそ行きにさせて落ち着かない。

ソワソワと部屋を往復してみたりして、私はたまらず病室を出た。

浮いた心をなだめるように水を買いソファーに座ってみる。


「嫌だな」といつもみたいに言いたくなったけど昨日のシンの事を思い出した。


“そうかな、来てくれる人が居るって嬉しい事だよ”


あの時、シンの顔はすごく寂しそうだった。


何故か自分が無神経な事を言ってしまった気がして後悔している。

人の見えない内側なんて言葉にしてくれなきゃ分からない。でもシンは……………

シンの気持ちぐらいは分かるようになれたらいいのに。


『………マイ?』


私を呼ぶ声にぼーっとしていた顔を上げた。


『なんで疑問形?』

わざと突っかかると目を丸くしたシンが近付いてきた。


『ごめん、なんかいつもと違うから……』

シンは私の顔をまじまじと見まくっている。


『やめてよ、別にただ化粧しただけじゃん』

私はクルッと体を背けてシンから顔が見えないようにした。私だってそんなにジロジロ見られたら恥ずかしいし。


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