キミがいなくなるその日まで




別にお母さんの事は嫌いじゃないし、むしろ感謝してる。でもどうしてもイライラしてしまう。

イライラ、イライラしてまた息苦しくなる。


誰に対してとかじゃない。

この状況が許せないだけ。


ベッドに横になって、診察を受けて一日が終わる。私はまだ17なのに。


学校ではもうすぐ文化祭が始まる時期。

出し物も決まって、私がやる担当もあった。それなのに時間だけが過ぎて、そしてあっという間に文化祭が終わっていくんだ。


ううん、文化祭だけじゃない。

この先、色々な行事ごとがあって楽しみにしてた事が沢山あるのにきっと私は参加できない。


いつの間にか布団の中にあった私の手は固く握りしめてあった。表情は一切変えず見えない拳だけが私の苛立ちを表してした。



『ねぇ、私いつ退院出来るの?』


お母さんは入れ替わりで家に持ち帰る私の衣服を整理している。

その質問に一瞬ピクッと服を畳む手が止まったのを私は見逃さない。


私は再び目線をカーテンの方に向けて続けて問いかけた。


『もう1ヶ月も経つじゃん。そろそろ限界なんだけど』


すると、スタスタッとスリッパの音がベッドに近付いてきた。


『今日お昼に診察があるでしょ?その時に風間先生から何かしらの話があると思うから』


風間先生とは私の主治医で、生まれてから今日までずっと私の診察をしている人。


確かに親に聞くより主治医に聞いた方が早いし正確だと思う。

風間先生は私の良き理解者で唯一信頼している人だ。でも最近少し私によそよそしい気がする。


17年の付き合いだからなんとなく分かる。


その予感は案の定当たっていた。



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