キミがいなくなるその日まで




すっかり頭から抜けていたけど、そう言えば来週は学校の文化祭だった。

せっかく忘れていたのに友達の一言で思い出してしまった。



『……あーうん。多分、行けないと思うよ』

さらりと言った言葉には迷いがあった。


多分なんてない。

行けない事は決定的なのにそれを口に出して言えなかった。


『まじか……。丁度昨日、文化祭の準備が終わってさ。けっこういい感じに仕上がったんだよ。だからマイにも見て欲しかったのに』


悪気のない友達の言葉に私は少しだけ笑顔が引きつった。

だって参加する方じゃなく客として来てってそう聞こえてしまったから。


『行けたら行くよ。今の所は元気だし、もしかしたら行ってもいいって言われるかも』


これは私の精一杯の強がり。


友達の言葉が気になったのも単に私がひねくれているだけ。

普通に気遣ってくれてるって思えればいいのに、
いつも私は嫌な方へと考える。



『じゃぁね、マイ。文化祭来れたら絶対来てね』


3人は1時間後、そう言い残して帰って行った。



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