キミがいなくなるその日まで
また夕方になり私は今日も屋上に行った。着いてすぐ見えたのはシンの後ろ姿。
まだ私に気付いていないのかシンはずっと外の景色を見ている。
少しだけ、ほんの少しだけこのまま背中を見ていたい。
そう思えるほど夕日に照らされたシンの後ろ姿は綺麗だった。
『………あれ?マイ来てたんだ』
視線に気付いたのかシンがふいにこっちを見た。
『うん。今来たとこ』
シンの隣に移動すると今度はシンから視線を感じた。何故かシンはいつも私の顔をじっと見る。
それがクセなのかわざとなのかは分からないけど正直戸惑う。
『なに?私の顔に変なものでも付いてる?』
前髪を触る振りをして顔を隠した。
『ううん、化粧落としたんだなって思って』
私は診察が終わった後すぐに化粧を落とした。
ついでに私服もパジャマに着替え今は普段通りの私。
『化粧って肌荒れるし。それにもうしてる意味ないから』
私が化粧をしたのは友達の為。
ださい姿は見せたくないし“入院してからマイは変わった”なんて絶対思われたくなかった。
『そうなの?化粧って大変なんだね』
そんな私とは逆にシンはいつも純粋だ。そして、
『でも俺は今のマイの方が好きだけどね』と、
なんのためらいもなく言ってしまう。