キミがいなくなるその日まで
私は少し無言になって“らしく”ない事をシンに聞いてみる。
『ねぇ、あんたって神様信じてる?』
こんな事聞いて笑われるかな。目に見えないものを信じるか信じないかなんて聞く方が変だ。
『信じてるよ』
────ドクン。
シンの顔があまりに真剣だったから思わず鼓動が高鳴った。
『マイは信じてないの?』
シンはなんだか私の答えを知ってるみたい。
そうだよ、私は神様なんて信じない。
だからお母さんが神様が味方してくれるって言った時何も響いてこなかった。だって……。
『私は真っ先に恨んだから。こんな病気にしやがってって神様の事』
入院患者が治るように神様に祈るのは分かるし理解出来る。でもその前にどうして病気にしたのって考えてしまう。
神様に祈って病気が治るならこんなに苦しい思いはしない。だから私は絶対祈ったりしないんだ。
『………本当、私ってひねくれてるよね』
こんな私が幸せになれると思う?無理に決まってるじゃん。
『それなら俺がマイの分まで神様を信じるよ。
マイの病気も治るように毎日言っておくから』
シンがニコリと笑う。
シンは本当にいい奴だ。
でも駄目だよ。そんな事言ったらひねくれ者の私と仲間だと思われちゃう。
シンは幸せにならなきゃ駄目だよ、絶対に。
幸せになるべき人間なんだよ。
そして時間は過ぎ、シンが自分の病室に戻る時間になった。シンはいつものように笑顔で『また明日』と言う。
私の病室のドアを開く寸前に、思わず声が出た。
『シンっ』
本当はもう一つだけ聞いて欲しい事がある。
でもそれを話すには時間が足りない。
『ううん、なんでもない。また明日』
私は出かかった言葉をゴクンと飲み込んだ。