キミがいなくなるその日まで
次の日、珍しくお母さんが出勤前に病室を訪れた。いつも通り中村さんかと思い完全に油断していた。
『なに、どうしたの?』
私はあえて昨日の事には触れずに平然を装う。
もしかしてわざわざ明日の事に釘を刺しにきたとか?朝からイライラした気持ちになりたくないんだけどな。
そう思いながら私は用意された朝食を無言で食べていた。
本当は野菜嫌いだけど、この空気を誤魔化す為に何故か箸が進む。
『明日、文化祭行って来なさい』
その瞬間、私の箸がピタリと止まった。
『………え……?』
早く言葉の続きが聞きたくて人参を掴んだまま私は停止している。
『お父さんに相談したらマイを信じなさいって。
だからお父さんに感謝しなさいね』
お父さんは今、家を離れて仕事をしている。だから顔を合わせるのは半年に1回ぐらい。
理由は多分給料のいい仕事をお父さんが選んだから。きっと私の為。
こうして入院してるだけでお金がかかるから。
『後でお父さんにメールしとく。あと…………
ごめん。お母さん』
お母さんは今も私が文化祭に行く事を反対してる。でも何も言わないのは私が駄目と言われても行くからだと思う。