キミがいなくなるその日まで
その後私は少し風に当たりたくていつもの屋上へと向かった。途中で買ったパックの飲み物を持ちながらストローを差し込む。
明日文化祭に行けるなんて今さらだけど実感が湧かない。
みんなに色々聞かれたりするかな?もしかしたら気を使って何も聞かれないかも。
別になにがあっても覚悟の上。
その時、バタンッと勢いよく屋上の扉が開いた。
『マイ、聞いて聞いて。俺身長が2センチ伸びたよ!』
シンは私が考え事をしていると決まって現れる。
最初はイライラしたけど今はもう慣れてきた。
『さっきね看護師さんに測ってもらったんだ。
毎日寝てる事が多いから逆に縮んでるかと思ってた』
シンはなんだか嬉しそう。
私達みたいに10代の患者は身長も体重も常に変化するから定期的に測る事になっている。まぁ、私は身長が伸びてても嬉しくないけど。
『あ、牛乳飲んじゃ駄目だよ。俺の目標はマイを追い越す事なんだから』
シンはそう言って私からパックの牛乳を奪い取った。
『ちょっと何すんの。それに私はもう身長止まってるから伸びないし。あんたとの差なんてたかが数センチでしょ』
シンの目線が日に日に高くなるのは気付いていた。だって14歳ってまだ成長過程じゃん。
『その数センチがなかなか埋まらないんだよ。
あー早くマイを追い越したいなぁ』
そんなに急がなくても…と言いそうになったけど止めた。時間は絶え間なく進むのに私達の体の成長はゆっくりで、時にそれが苦痛になる事もある。
だから想像してみた。もしシンが私と同じ17歳だったらって。