キミがいなくなるその日まで




『マイっ!!』


2年2組の教室に行くと友達がすぐに寄ってきてくれた。それはお見舞いに来てくれたアキコ、杉ちゃん、ナナミ。


『久しぶり!みんな心配してたんだよ』

他にも沢山話しかけてくれた。


『ありがとう、ごめんね。担当してた仕事出来なくて』

『平気だよ。みんな手伝ってくれたし結局関係ない人達まで色々書いてたから』


この教室の雰囲気と匂いは全然変わらない。

当たり前だけど病院とはまるで違う世界だ。


2年2組の出し物は駄菓子屋で教室の机や椅子は別の場所に片付けられている。

黒板も窓も文化祭仕様でどことなくみんなの化粧も濃いめ。もしあの時発作が起きなかったら私も制服を着崩してアクセサリーを付けたりして派手に飾っていたと思う。


『うちら午後の部でステージやるんだよ。マイも見に来てよ』


アキコ達が文化祭のプログラムを見せてくれた。

毎年体育館のステージではバンドをやったりダンスをしたりする。そのほとんどが立候補。

私が居る時はやらないって言ってたのに。

もしかして私に気を使っていたのかな。分からないけど。


『ごめん、午後には帰らなきゃいけなくて』

『そっかぁ。じゃ、動画送るから見てよ。ナナミのダンスめっちゃウケるから』

『ちょっとアキコっ!』


私には軽いこの感じが実は丁度いい。

高校ってほとんどグループ社会で、仲がよくなければ名前すら分からないってほど。

私が久しぶりに登校してきても見向きもしない人は沢山居るし、心配したよと言っても連絡先は知らなかったり。

小学生のみんな手を繋いで一つ、みたいな世界とはまるで違う。


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