キミがいなくなるその日まで
私はその後、時間を無駄にしない為に他の教室の出し物もまわる事にした。
1組はお化け屋敷、3組は手相占い、4組はメイド喫茶。先輩、後輩関係なくみんなが楽しんでいるように見える。
『あ、そう言えば杉ちゃん彼氏出来たんだよ』
突然、アキコが思い出したように言った。
『もう、やめてよー』と杉ちゃんは否定したけど顔は真っ赤になっている。他にもあの人やこの人の私が居なかった間の話しが続いた。
私は病院で同じ毎日を過ごしていたけど、みんなは違う。
きっとこの瞬間も変化し続けているんだね。
『あ、村内先輩じゃん』
ナナミの一言で私はドキッとしてしまった。
村内先輩は私が倒れる寸前まで彼氏だった人。告白されたから付き合ったのに結局長続きしなかった。
『先輩最近彼女出来たんだよ。ほら、1年のあの子』
村内先輩の隣に居たのは小柄でとても可愛い子だった。
一瞬、先輩と目が合ったけど久しぶりの一言もなくて完全にスルー。
『マイ大丈夫?』
友達が心配してくれたけど私が傷つく訳がない。こんな事でへこんでたらペチャンコになっちゃうよ。
『余裕だよ』
そう笑えたのはあの言葉が聞こえたから。
“俺の彼女にしてあげてもいいよ”
その声が聞こえたからだ。
多分私は確かめに来たんだと思う。
ずっと断ち切れなかった外の世界。私は病気じゃない私を知らないけど、きっと普通じゃない事を認めたくなかった。
でも私の居場所はここじゃない。
どんなに傷ついても、どんなに泣きたくなってもこの目で見て納得すれば嫌でも思い知るでしょ?
だから私はここに来たの。
友達も好きだった人も全て置いていく。自分から捨てたと思えばこんなに楽な事はないよ。