キミがいなくなるその日まで



シンの悲しい顔を見ると胸がぎゅーっとなる。
発作とは違うこの傷みは一体なに?

そしてシンにそんな事を言わせてしまうお母さんってどんな人?


だってシンはいつも戦ってるし、いつも頑張ってる。なのに子供に会いにこない理由はなんなんだろう。

とても歯がゆさが残ったけどこれ以上聞く事は出来なかった。


『あ、日の出だよ。マイ』


シンはすぐにいつものシンに戻った。

病室の白いカーテンを開けるとビルの間から眩しい朝日が昇っていた。冬は日の出は遅いって知ってたけどまさかシンと見れるなんて。


『綺麗だね、マイと見れて良かった』


シンの頬に光が差し込んでいる。その横顔が何故か目に焼き付いた。


『ん?俺の顔になんか付いてる?』

視線を感じたのかシンと目が合ってしまった。


『べ、別に』

私は慌てて顔を反らす。シンの顔に見とれてしまうなんて私はどうかしてる。


『変なマイ。あ、そうそう。今日の夕方もいいものが見れるかもしれないよ!』

『………いいもの?』


シンはそれ以上教えてくれなかったけど、なんでも屋上でいいものは見れるらしい。

屋上っていつも行ってる屋上でしょ?


そんなに目を丸くしてはしゃぐようなものって何かあったっけ?


< 93 / 183 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop