キミがいなくなるその日まで

┗最終電車




今日は久しぶりに朝日を浴びたせいかいつもより体調がいい。診察室に向かう足取りも軽かった


『あら、マイちゃん』

前方には中村さんの姿。車椅子を押していて乗っていたのは小さな子供だった。


『この子昨日から入院してるの。仲良くしてあげてね』

見た目はカズキよりも幼いから7才ぐらいかな。
ここは小児病棟もあるからこのぐらいの歳の子は珍しくない。

でも怯えているのか私とは一度も目が合わなかった。


あんなに小さな子が親と離れて生活しなきゃいけないんだから怯えるのは当然だ。

私は2週間に1回診察に来れば良かったし、入院生活もこの歳になってから。

そう考えれば恵まれてる方だと思う。


『ねぇ、子供が可愛くない親っているのかな?』


診察の途中で風間先生に聞いてみた。

ずっとシンの言葉が頭から離れない。


『居るかもしれないね。世の中には色々な人が居るから』

勿論、先生はシンの事だって知らない。でも私はまだ納得出来ていなかった。


『それって病気でも?子供が病気と戦ってても会いに来なかったりできるの?』

私には理解出来ない。

まぁ、子供も産んだ事ないし親になった事もないけどさ。


『うーん、色んな人が居るからねぇ』

先生はまた同じ言葉を繰り返す。立場上言いにくいのか口を濁(にご)しているみたいだった。


私にはお母さんもお父さんもカズキも居る。

それが当たり前だって思ってたけどやっぱり私は恵まれているのかもしれない。


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