キミがいなくなるその日まで
私は正直、シンみたいに強くない。
私は未来なんて絵空事は嫌いで、いつも今さえ良ければそれでいいと思ってた。
でももし明日シンが居なくなっちゃったら私はどうすればいい?
その悲しみは涙だけで足りるかな。
私は押さえきれない感情と共に涙がこぼれそうになっていた。
泣きたくない、涙なんて流したくない。
だって泣いたら本当にシンが居なくなるみたいじゃない。
『寒くなってきたね、先に戻ってていいよ。
私もすぐに行くから』
精一杯の強がり。
大丈夫、目を瞑って暫くしたら元の私に戻るから。
『俺は待ってるよ?』
こっちの気持ちも知らないでシンは平然としている。
こんな気持ちにさせたのはシンなのに。
『いいって、それに一緒に戻らなくてもいいでしょ?』
お願いだからひとりにして。私は強くないけれどシンの前で泣くほどか弱くもないの。
『そうじゃなくて、マイの涙が止まるまで待ってるから』
あーぁ、もう。本当に嫌だ。
その言葉を聞いた瞬間、私は我慢出来ずに泣いてしまった。
シンは私より年下で男というより男の子。それなのに弱い私を受け止めてくれる大きな心を持っている。
それが悔しくて、
それが羨ましくて、
それが嬉しい。
────ねぇ、シン。
病院は私にとって小さな世界。
限られた中で限られた事しか出来ないとても嫌な世界。
でもシンと会ってその世界は少しだけマシなものになった。例えるなら砂漠に咲いた一輪の花。
シンは枯れた私に沢山の水をくれるオアシスみたいなそんな人。