Neverland

冷たい玄関。重たい扉。

いつもと違う空気。

見覚えのある部屋。

祖母の家だった。

「…パパ?」

「ねぇ、ママ?パパ、死んじゃったの?ねぇ?」

幼い私は自分なりに理解をしようとしてママに尋ねている。

「パパはいっぱい頑張ったからね、もう眠っちゃたの。」

「眠ってるの?いつ起きる?パパ?」

パパをゆさゆさ揺らす。

鉄みたい。

そう思った。

「もう、こっちに来なさい。」

震える声で私の手を引いた。

ママは嘘つき。

だってパパはそこに居るよ。

みんなおかしいよ。

彩花に嘘ついてる。

ママはパパの事嫌いなんだって。

だから泣いてるの?

彩花、ママが泣いてるの知ってるもん。

大丈夫だよ、パパはそこに居るよ。

ママが泣いてるのをそばで見てるの。

でも、パパは泣かないの。

悲しそうな顔してるけど、大人は泣かないんだって、パパ言ってた。

ねぇママ?

ママはまだ子供なの?

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