Neverland

「なんだー。」

全身の力が抜けた。

嘘だとなんとなく解っていながらも騙されたせいか、顔の赤みも体温もさっきより上がった気がした。

「バラすの早いよっ。」

今度は顔が赤くなっているのが気になって、平然を装ってみる。

「あはは、だってもう充分でしょ?かわいそうだもん。」

「おかげで身体が暑いっあっチャイムが鳴る。」

うちの学校ではチャイムが鳴る前にブーという音がしてチャイムが鳴るのが分かる。

もう古いのかと思っていたけど案外他の学校でも聞こえたり聞こえなかったり。

キーンコーンカーンコーン…ー

「じゃあねっ。」

案の定チャイムが鳴って佳奈は席へ戻っていった。

私はノートを続けて書き始めた。


チャイムとほぼ同時に先生が入ってきてすぐに授業が始まった。

火照った体もやっと落ち着いてきた。

「西川君、他に用事があったんじゃない?」

佳奈のノートを映しながら、さっきグダクダになった話を気にしてる。

言われてみれば確かに雄が私がノートを録らなかったことくらい知ってるはずだった。

根拠はないけど。

他人から言われると自分が気がつかないことに気がつくから面白い。

丁度暇な頭の中で他の用事を考えてみた。

とりあえず言いたいことがあればそのうち話に来るだろう。

結局結論はそう落ち着き、借りたノートも全部映し終わったので、彩花は授業へ戻った。

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