Neverland
しばらくすると、雄のお母さんが来てくれた。
「あらあら、こんなに冷たくなっちゃって、彩花ちゃん、ママ遅いからうちで待ってなさい。」
雄のお母さんは私のほっぺを温かく包んでくれた。
「いいの、待ってるの。」
この譲らない性格は誰に似たんだろう。
温かい手をほどいて、涙を我慢して、いっぱいいっぱいの言葉だった。
「じゃあ、おばさんもここで一緒に待ってよっかな。」
「え?」
おばさんと目が合った。
何を言ってるんだろう。
「だって、彩花ちゃん一人じゃつまらないでしょ?」
「でも、だって。」
「ん?」
「ママ、来ないよ?」
言った後に後悔した。
涙が目にたまって、瞬きをしたら溢れてしまったのだ。
それでも、私はこらえた。
「じゃあ、なんで彩花ちゃんは待ってるのかな?」
「だって。」
ママが来るかもしれない。
「もう、寒いからうちに入ろうね?ママには電話しておくからね。」
うつむいた私をおばさんは手を引っ張って家に連れてってもらった。