Neverland
そこにはゲームを終えた雄とゲームに負けて悔しがってる雄の弟がいた。
「おい。」
雄は振り向き、私に顔を向けた。
「ほら、お前の母ちゃん来なかったじゃねぇかよ。」
その言葉にムッとしたけど、何も言えなかった。
また涙が溜まってきて、うつむいて目をそらした。
「こらっ!!」
突然、雄のお母さんが雄の頭をおもいっきり叩いて、私はびくっとなった。
「もっとあんた、優しくしなきゃダメでしょ。」
「痛いな、なんだよ。」
「ごめんね、彩花ちゃん。ほら、ご飯にするよ、あんたらさっさと片付けて手ぇ洗っておいで。彩花ちゃんも。」
これがこの家での普通なのか、おばさんは手際よくテーブルに夕食を並べていった。
「また後でゲームするからこのままでいい?」
雄の弟が作業中のお母さんの背中に問いかけた。
おばさんは振り向いて部屋の様子を見た。
「仕方ないね。じゃあ彩花ちゃんと手洗っておいで。」
「行こっ。」
そう言って雄の弟くんは私の手を引いて洗面台まで連れて行った。
「剛には優しいよな、母ちゃん。」
雄もブツブツ言いながら洗面台についてきた。