Neverland
雄はすぐカシャンと自転車を止めて荷物を取り、もたつきながらも小走りでついてきた。
「ちょっと待っててよ。電車一緒じゃんか。」
自転車に乗せてもらうのはいいが、雄とは同じ学校。
雄は別に嫌いじゃないが、大概めんどくさいとスルーしている。
「あっ、ほらっ、その態度。」
「悪かったね。」
「なんだよ、かわいくないな。」
必要以上に絡まないでほしい。
もうホームに電車はついていて、温かい車内に一息ついた。開きっぱなしのドアの辺りは冷たい空気が入り交じっている。
「まだ寒ぃーな。」
「そーだねぇ。」
私はマフラーに顔を埋めた。
後ろではプシューと電車のドアが閉まる音がした。