崩壊家族
もう、どうすることもできなかった。

どうしようもできなかった。


俺が最後に選んだのは、死だった。

目の前には流れる水。

俺の手にはカミソリ。

「――すまなかった…さゆり…」

俺は見捨てられてしまった妻に謝ると、カミソリで手首を切った。


もし俺が早くにさゆりの気持ちを理解していたら。

もし俺が安らぎを求めず、家庭と向きあっていたら。

こんなことにはならなかったのかも知れない。


☆★END☆★
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