崩壊家族
1-1.間違えた生活
会話もなく終えた朝食。
ジャケットを身につけた夫に、私はカバンを渡した。
「――今日は……早く帰りますか?」
私の問いに何も答えず、夫は渡されたカバンを受け取った。
何も言わなくても、私は充分にわかっていた。
夫は、今日も帰ってこない。
今日も、夫は愛人のところに行く。
夫は背中を見せたかと思うと、リビングを去って行った。
私はそんな背中を追いかけることなく、ただ黙って後ろ姿を見つめる。
バタン…
空しく閉まったドアの音に、私はテーブルに視線を向けた。
夫と私の、2人分の朝食。
「どうしてこうなったの…?」
1人のリビングに、私の呟く声が虚しく響いた。
――私は、ただ幸せになりたかっただけだった
ジャケットを身につけた夫に、私はカバンを渡した。
「――今日は……早く帰りますか?」
私の問いに何も答えず、夫は渡されたカバンを受け取った。
何も言わなくても、私は充分にわかっていた。
夫は、今日も帰ってこない。
今日も、夫は愛人のところに行く。
夫は背中を見せたかと思うと、リビングを去って行った。
私はそんな背中を追いかけることなく、ただ黙って後ろ姿を見つめる。
バタン…
空しく閉まったドアの音に、私はテーブルに視線を向けた。
夫と私の、2人分の朝食。
「どうしてこうなったの…?」
1人のリビングに、私の呟く声が虚しく響いた。
――私は、ただ幸せになりたかっただけだった