崩壊家族

2-1.セレブな生活

交際を再開させて、初めて迎えた日曜日の昼下がり。

私と洋介は六本木の一角にある某ブランドショップにいた。

目の前の試着室のカーテンが開いた。

「さゆり、似合ってる。

キレイだよ」

淡い色のワンピースを身につけている私に、洋介が微笑みながら言った。

「ありがとう」

嬉しくなって、私は答えた。

「でもこんなにあるんだけど」

私が視線を向けた先には、カゴいっぱいの洋服が1つ、2つ、3つ…とあった。

誰から見ても、あきらかに買い過ぎだと思う。

「だって、さゆりは何着ても似合うんだもん」

「ちょっと洋介!」

アハハと2人で声を出して笑う私たちに、
「お似合いですよ、奥様」

店員がニッコリと微笑みながら言った。
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