崩壊家族
銀座の一角に構える寿司屋に、私と洋介はいた。

「おいおい、緊張するなよ。

寿司屋だぞ?」

この場所になれていると言うように言った洋介だけど、
「えっ、ええ…」

当然、私はこの場所になれていない。

当たり前だけど、当然お寿司は回っていない。

テレビや雑誌でこう言う場所は見たことあるけど、きたのは今日が初めてである。

「さゆり、何食べる?」

洋介が聞いた。

「えっと……じゃあ、たまごからもらおうかな」

そう言った私に、
「お、粋だねえ」

洋介は笑うと、注文をした。

「寿司のよさと言うものは、たまごで決まるんだ」

「あら、そうなの」

「ある意味、常識だな」

そんなことを話していたら、
「お待ち」

たまご焼きが私たちの前に置かれた。
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