崩壊家族
そう答えた私に、三神さんと柳さんは驚いたと言うように目を見開いた。

「私に娘はいません」

そう、私に娘はいない。

反抗ばかりで、ついには家出をした娘。

そんな子を、私は知らない。

「で、ですが…」

口を開いて何かを言おうとした柳さんを、
「人違いじゃないんですか?」

私はさえぎった。

困ったと言うように柳さんは三神さんに視線を向けた。

三神さんは息を吐くと、
「信じたくないと言うのは、よくわかります。

自分の娘がまさか麻薬に…」

「本当に知りません。

私に娘はいないんです」

私はさえぎるように言った。

また戻れって、言うの?
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