崩壊家族
「あ、山村さん…!」

呼び止めようとした彼らに、
「任意の事情聴取なんですよね?

この後約束がありますから、早く帰らせてもらえませんか?」

私は言った。

ウッとつまった2人に、私は背中を見せた。


家に帰ると、
「さゆり!」

心配そうな顔の洋介が私を迎えてくれた。

「洋介……どうしたの?」

まだお昼だと言うように、どうして家にいるのだろう?

私の頭の中を読んだと言うように、
「さっき、カネさんからさゆりが警察に呼ばれたって聞いたんだ。

それで、午後からの予定をみんなキャンセルにして帰ってきたんだ」

今にも泣き出しそうな洋介の隣に、心配そうな顔をしているカネさんがいた。
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