崩壊家族
「洋介…」

私のために、そこまでしてくれたの?

大事な仕事を全て放り投げて、わざわざ家に帰ってきてくれたの?

出そうになった涙を、私はどうにかこらえた。

「ごめんね、洋介。

私のせいで迷惑かけちゃって。

カネさんも、ごめんなさい」

謝った私に、
「さゆりのためなら、どうってことないよ。

とにかく、さゆりが帰ってきてくれてよかったよ」

洋介は優しい笑顔を見せてくれた。

「カネさん、少しの間さゆりと2人にしてくれませんか?」

そう言った洋介に、
「じゃあ、お買い物にでも行ってきます」

カネさんは小さく頭を下げると、背中を見せた。
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