崩壊家族
「すごいって…。

さゆりも時間をかけて頑張れば、そのうち使いこなせるようになるよ」

洋介は笑いながら言った。

「ホントに?

じゃあ、私も頑張らなきゃ」

せめてメールを作れるように、私も使いこなせなきゃ。

「おいおい、『こぬにちや』ってなんだよ」

「違うの!

『こんにちは』って書こうとしたの!」

「新しいあいさつ作っちゃったじゃん」

「もう、笑わないでよー!」

やっぱり、私はこの生活を大事にしたい。

やっと手に入れた、幸せを手放したくない。

そう、思った。
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