崩壊家族
男は警察に連行された。

その間も男は訳のわからないことを叫んでいたけど、私は無視をした。

あんな人が私の息子?

ウソを言っているのもいいところだ。

とにかく、私は知らない。

あんな男が私の息子だなんて、知らない。

その後、私は息子がひきこもっていた部屋を覗いた。

……ひどい有り様だった。

菓子パンの袋やら紙パックのジュースやら……一言で言い表すとするなら、ゴミ屋敷だ。

本当にあの男がいたのかと思うと、背筋がゾッとした。

キッチンの方も覗いて見ると、こちらもひどい有り様だった。

こぼれたお茶に、中身が飛び出したケチャップやジャム、すでに期限が切れている牛乳。

とにかく、ひどかった。
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