崩壊家族
寒いと言うように震えている夫が、腹立たしくて仕方がない。

憎い以外、何も出てこない。

こんな情けないヤツと結婚していたのかと思うと、私は恥ずかしくなった。

「あの子たちなら、警察に引き払ったわ。

今頃刑務所かしらね」

そう言った私に、
「――引き、払った…?」

夫が聞き返した。

「そうよ、2人が邪魔だから引き払ったのよ。

邪魔者を引き払って、何が悪いの?

私だって幸せになりたいのよ?

だから警察にあの子たちを任せたの」

夫は言葉を失ったと言うように、呆然と私を見つめた。
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