崩壊家族
「私には、夫はいません」

そう言った私に、
「で、ですが…」

困ってる様子の三神さんに、
「私には、家族はいません。

娘も。

息子も。

そして、夫も」

私は言った。

そう、そんなものは最初からなかった。

なかったのも、同然だった。

いたのは、洋介ただ1人だ。

「これから用事がありますので、失礼します。

それからもう2度と、私に電話をかけてこないでください」

「えっ…」

何かを言いたそうな三神さんをさえぎるように、私は電話を切った。
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