崩壊家族

2.息子

「ふざけんな、クソババア!

何でたらめ言ってやがんだよ!」

叫んでも叫んでも、あの女――母親は何も言ってくれない。

冷めた目で黙って警察に連行されて行く俺を見つめている。

捨てられた。

俺は母親に、捨てられた。


俺がひきこもりになったのは、いつのことだろう?

進学した学校の同級生に理不尽な理由でいじめられた。

最初は無視とか悪口とか、そんな簡単なものだった。

けど、だんだんと俺へのいじめはエスカレートして行った。

物を隠される、ハブられる、トイレで暴言暴力。

他のヤツらは何もしてくれない。
< 93 / 105 >

この作品をシェア

pagetop