MIND TERRITORY
廊下へ出てエレベーターに向かおうとした時、ちょうど迎えに来た山西と出くわした。

「山西君…あまりに良すぎるタイミングだな。長いこと私と一緒にいる内に、テレパシーでも感じるようになったのかね?」

西条が年甲斐もなくお茶目な笑顔で言うので、山西は我慢できずに声を立てて笑った。

「その様子では、取り越し苦労だったみたいですね。何にせよ大事には至ってないようで安心しました」

「そうだな。詳しい結果は後で出るようだが、今の段階で異常が見当たらないのだから、明らかな致命的症状は無いと見ていいだろう」

二人は到着したエレベーターに乗り込んだが、西条は暫し考えた末に、畏まったように話を切り出した。

「山西君。佐藤教授の勧めもあって、暫くゆっくりさせて貰おうと思うのだが…その間の研究は君に任せても良いかね?」

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