MIND TERRITORY
目を離したのは、ほんの数秒足らずだ。
なのに二人の研究員は、有り得ない程に移動していたのだ。
明らかにたかだか数秒程度で、人間が移動できる距離ではない。

西条は驚きの表情を張り付けたまま窓枠に手を掛けると、身を乗り出すようにして、視線だけで二人の姿を追った。
暫く高鳴る鼓動を抑えながら見入っていたが、特にそれ以上おかしな事は起こらなかった。

やはり疲れているのだろうか…

西条は気を取り直し、中庭へ降りてみる事にした。

たまには外にでも出て、気分転換をしてみるか。

西条は軽く散歩するつもりで、簡易な衣服に着替えると、自室を後にして廊下を歩き出した。

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