MIND TERRITORY
西条は再び深い息を吐くと、山西の方へ向き直った。

「いや、大丈夫だ。少し疲れただけだ」

山西は微かに表情を緩めた。

「そうですか。しかし無理はなさらないで下さい。特にここ最近は根を詰め過ぎですから」

「なぁに、研究もいよいよ大詰めに入っている。こんな時にのんびりなどしてられんよ」

「しかし教授…」

山西の言葉を制して、西条は言葉を繋いだ。

「確かに私もいい歳だ。最近はどうも疲れやすい」

そこまで言うと、西条はふと思い出したかのように付け足した。

「そう言えば山西君は医学の知識もあったね」

山西は軽く頷いた。

「えぇ、これでも医大の出身ですから。教授との出会いがなければ、きっと今頃は病院勤めだったでしょうね。で…何か体調に異変でも?」

西条は言い難そうに、苦笑いを浮かべた。

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