大好きな君へ言いたいこと。
【蒼空side】


自転車の音がした。

通りすぎてくよね?

キィーー

目の前で自転車が止まった。

自転車に乗っていたのは三番目の兄。奏史だった。

「蒼空?何してんの。」

奏史が蒼空達を見て首を傾げながら聞いてきた。

その姿は、自分と兄弟と思えないほどオーラを感じさせる。

「んー、ちょっとお話ー♪」

奏兄は「ふーん。」と、言って庭に入っていこうとする。


何話そうかな?
優輝つまんなさそうだし…。
なんかあったかな?

「あ。」

自転車を置いて、家に入ろうとした奏兄が何かを思い出したように駆けてきた。

横に来ると奏兄は私の頭の上に手を置く。

「よく頑張ったな。」

奏兄が髪をくしゃっとしときた。

「ん?」

奏兄は何も言わずに微笑んだ。

「蒼空もそろそろ家入りな。」

奏兄はそう言って家に入っていった。

「じゃあ。帰るか?」

優輝が家に入っていった奏兄の方を見ながら言った。

「?うん。そうする?」

郁は一瞬、何か言いたげな顔をしたが、すぐに笑って「うん。」と、言った。

「じゃあ。またね!」

背を向けて行く二人に蒼空言った。

「またな!お大事にッ」

優輝が振り返り、ピースをして笑った。

「またね!」

郁が笑顔で手を振った。

「琉衣行こっ!」

蒼空は、二人を見送ってから琉衣と一緒に家に戻った。


あの二人は、
優しいな。

私は、そんな二人が―…



大好きだ。

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