僕だって、男なんだよ…

彼女の彼氏は…

彼女の彼氏は、彼女よりも年下で、
更に僕よりも年下だった。

彼女、僕、彼氏…

その順番で歳は違うのに、
彼女、彼氏……
そして、僕

いや、彼女・僕・彼氏か…


なんだかよくわからないけど、
僕は彼氏の話ばっかり聞く事になった。


「いつも私が会いに行ってる」
「ごはんは割り勘」
「ひきこもり?らしくってさ…家から出たくないみたい」
「お金がないないって言ってる…」
「家が複雑?らしくてさ…」
「電話出ないし、出てもなんか変な時があるんだ…」


たいしたことないやつなんだ。
少しかっこよくて、今までちょっとモテてきた
やつによくいる、性格の悪い男だと想像はついた。
そして、とにかく我が儘で、自分の事しか考えられない
お子様なやつなんだ…。


でも、彼女が選んだ彼氏…。

僕は、彼女の話を聞く事しか出来なかった。


「アラタは、女友達みたいに話しやすい♪
かっこいいのに、彼女出来ないの?」


ノックアウトだった。
僕の位置付けは、男ではなく、女友達だ。
涙が出そうになった…いや、出なかった。
僕だって、男なんだよ…
こころの中で呟いた。
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