キレイをつくる保健室
【花崎ナミside】

ゆり先生が化学実験室に向かって走りだしたのを見て、あたしは怖くなった。


「ゆり先生!」


塚田センセは、ゆり先生を追いかけようとする。


でも、すぐに、あたしたちを振り返って言った。



「煙がここまで回ってこないうちに、校舎を出るんだ」


下川くんが青ざめて、ガクガク震えてる。


「下川くん!?」

あたしが、しっかりしてほしくて、下川くんの肩を揺さぶる。


わ、なんて細い肩。


「ボク」

「え、なに」




「ボク、火が怖いんです」

あたしだって火事は怖いよ!!



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