キレイをつくる保健室


「塚田センセ、大丈夫?」

シーツをかぶり、煙の回っていない下の床に近い所をはうように、進む。


「食ってないからな」


は?


「はら減って辛い」



こんな時に……。


でも、煙が広がるなか、この保健室のベッドシーツのおかげで、煙はそう吸わずにすみそう。



あたしたちは、しゃべるのを止めて、出口までひたすら急いで進んだ。


短い距離だった。



でも、長い時間だった。


あたし。塚田センセの背中の後でなかったら。

冷静に逃げられなかった……。
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