キレイをつくる保健室
「塚田先生が家に寄ってくれて」
あたしは、ママから思いがけないものを受け取った。
放課後よく美術室で眺めていたアートブック。
「スゴく、うれしい……」
学校の机のなかに置いていた画材を燃やされた、とゆり先生から聞いて、
あたしは、ヤッパリ、なんかさみしかったの。
ある女子たちが、あたしのことを嫌っているのは、知ってる。
嫉妬や憎しみは、あたしを傷つけてきたから、それはショックだったし。
けど、今回はあたしの大事にしていたものを燃やされて。
描きかけのイラストや色を塗るのを楽しみにしていた絵。
そういうのに、罪はない。
あたしが憎ければ、あたしに憎悪をぶつければいい。
でも……あたしの大事にしているものに、手を出してほしくない。