キレイをつくる保健室
城じゃないの、というくらいの大きさ。
見上げるくらい高い塔まである。
「あの高い塔は礼拝堂でございます」
「へ」
「あなた様が、花崎ナミ様でいらっしゃいますね」
黒服の執事が丁寧にあたしに礼をする。感情はこもっていない。
「失礼いたしました……わたくし、黒沢と申します」
執事。
黒服(くろふく)の黒沢(くろさわ)。
しくんだ?
思わず笑いそうになる。
「人のことをお笑いになるのは失礼でありますよ」
黒沢は咳をして、はっきり言い切った。
「お返事は、ハイと言ってくださいませ」
……。
「ハイ」