キレイをつくる保健室
男性が立ち上がった。
「はじめまして、君がナミさん?」
「……ハイ」
漆黒の短い髪に薄い湖のようなブルーの瞳。
肌が白いために、ブルーの瞳がよく映える。日本人にない、目鼻立ちだ。言葉は流ちょうな日本語なのに、その姿は舶来の人形のよう。
高い背と長い足。美しい紳士の姿。
イラストに描きたい。
じっと見ていたら、黒沢が注意してきた。
「あまりにも失礼ですよ、じろじろ見ては」
うるさいな~。
あたしだって客だよ?
「……さすがに、ゆりさんが選んできたひとだね」
そうですかね?
来たくて来たわけじゃないんだけど。
「僕は、瀬名(せな)ヒロキ。ヒロと呼んでくれていいよ」
「はぁ」
また黒沢があたしをにらむ。
「ハイ」
めんどくさい。
「よろしくお願いします」
わけわからずも、挨拶をしておく。